1997年からのお出かけレポです。時代により制作方法が違いお見苦しい、読みにくい箇所が多々あると思います。できる限り現代版に合わせるよう作業していますが、過去に頂いたコメント等が消えてしまうこともあります。ご容赦いただけたら幸いです。

放浪の春 03

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どこか野営出来そうなところを探しながら走るために、林道と分かれ道になっていたもう一方の道の方を選んで入る。と、そこも先が通行止めだと立て看板が立っていた。ドライブイン駐車場からよく見える場所。座っていたおじさんは、わたしたちの車が右往左往していた様子を見てニヤって笑っていたに違いない。通ってきた道に戻るのはいやだったので、となりの温泉街に通じている道を走り始めた。

どんどん走る。温泉街が過ぎる。旅館にチェックインして夕食までのんびりそぞろ歩きする人たちの姿が飛んでいく。


ナビと地図とツーリングマップルを見ながら、道を探る。

温泉街沿いでは野営できそうなところは見つけられないだろうと、峠越えをすることにした。温泉街通りと峠道。二者択一。他に選択の余地はない。

標高が高くなるにつれて残雪が道の両側に増えてくる。日当たりの悪いところはまだまだ冬の装いで雪の壁が残っている。反対に、日当たりのよいところには融けて落ちてきた大きな雪の塊が転がっている。

遠くに雪を頂いた高い山がそびえて見えた。こんな景色を見ながらキャンプしたいよねぇと数箇所探してみたが、わたしの頭の中で雪融けと熊が結びついてしまってはなれなくなってしまったのと、綺麗に舗装された走りやすい林道なので車の往来も少なくなさそうだ、ということでどこも却下することになってしまった。
しかし、この雪景色を見ながらキャンプをしたいという想いはますます募っていく。

あちこち回りながら中禅寺湖に出てしまった。もちろん、地図を見ていたのだから中禅寺湖に出るのはわかってはいたけれど、できれば中禅寺湖に出る前に今夜の宿泊地を決めたかった。
ここまで来たのなら一応見てみようか?と菖蒲が浜キャンプ場に行ってみる。GWということで、キャンプ場周辺もいつもと違う雰囲気を醸し出していた。まるで知らない場所の様子。キャンプ場の駐車場もかつて見たことのないほどの車の数が入っている。よくこんなに停められるもんだと驚くほど駐車場は込み合っていた。しかももう日も傾き始めた夕方だと言うのに今まさに到着して荷物を運びはじめている人たちもいるし、車の置き場所を探してうろうろしている人もいる。
なんて人の心配はしていられない。我が家は宿泊場所さえ決まっていないのだから(笑)。

混雑しているキャンプ場をそそくさと抜け出し、せっかく中禅寺湖に来たのだからといつものおいしいパン屋さんにご挨拶がてらパンを買いに立ち寄った。中禅寺湖湖畔はさすがにGWらしく車も人もたくさん出ている。紅葉の時期の混み方ほどではないけれど…。いろは坂が混んでいないことを祈りながら下り始めた。快適に降りていく。しかし、その先どこへ行く、わたしたち???(笑)
もうすぐいろは坂終了というところで渋滞が始まった。なんとかストレスを感じる前に抜けられたのはラッキーだった。
突然ししたろが目的地を決めた。小さな小さな水溜りのようなダム湖。ここだ!と。

ふと気づけば、ごくごく最近見たことのある風景。お昼頃通った鬼怒川の橋をまた渡っていた。

18時過ぎ、高速と有料道路を乗り継いで走る。ETCが使えない料金所だと慌ててしまう。


目的の場所に到着したのはもう暗くなってからだった。小さなダム湖湖畔のはずだが、湖の様子はわからない。
そこは、夕飯の灯りがもれる家々がぽつぽつある集落を抜けて行った先にあった。
テントを張れそうな場所は、畑の野菜などの栄養になる所謂肥やしの芳しい香りが風向きによって漂ってくる(笑)。以前は畑だったと思える1メートルほどあがった一帯には雑草が茂る土地が広がっていた。車で寝てしまってもいいと思っていたけれど、HEX3+ネストなら簡単に張れるしその方がゆっくり眠れるだろうとししたろがHEX3を車の脇に張りはじめた。
まだその姿を見ていないダムで水が落ちる音が響いている。時折、ドクンと聞きなれない音もする。バタバタと鳥が飛び立った。明るいうちに着いていればあたりの様子もわかるが、暗くなってからだと不安な要素が多くなる。
まずパセ&ポプのごはんをつくった。
あれ?わたしたちは何をたべたのか…記憶が飛んでいる。写真も撮っていなかったので思い出すことができない。

* * *

ここまで長く遠い道のりだった気がする。
明日はどうするか…。

月は高い位置にあり、林で囲まれたわたしたちのいる辺りを照らしていた。星も輝いていた。空は明るい。でも周りのことはわからない。
時折、なんの音かわからない、不思議な音が響く。定期的といえば定期的な間隔なので、おそらくダム関係の音だと想像する。
静かな分、そういう音に耳が集中してしまう。眠れない…と寝返り打ちながらも、聞きなれない音を子守唄に夢の世界に入っていた。


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