遠足ならば、前日までにおやつの準備もして、忘れずに遠足の栞をリュックに入れ、前の晩はドキドキしながらなかなか寝付けずにいる、というのがお約束のパターンかもしれない。
しかし、遠足の前の晩も修学旅行も前の晩も特にドキドキしなかったわたし。
ただ、あれこれ旅の状況を考えて、何を用意するか、何を置いて行くか、準備をしている時間はわくわく楽しく、今でも大切にしたい時間。
なのに、夫の突然の出かけよう宣言のため、準備の時間はほぼないに等しく、出かけようと決めたら1時間以内(パセ&ポプがご飯を食べて一時間経っていたら)にもう車は走り出しているという状況。
まぁ、準備するものはほとんどなく、車にほとんど載っている。万が一の時に必要になる水を入れ替え、カメラのセット(一眼や各々のカメラ、ビデオ、充電器など)や、帽子、飲み物など毎回決まりきったものを車に放り込むだけになっているのだけど…。
冷蔵庫を開け、簡単に作れそうなものでお弁当を詰める。着替えて、戸締まりをして、今回はパセ&ポプの軽い散歩をした後、11時前に出発した。
前日に決めていれば、今頃は悠々と目的地を歩いていたことだろうに。
上流での雨は激しかったらしく、江戸川は溢れて河川敷までが川のようになり、滔々と流れる大河に変貌していた。
今日の目的地第一候補は、先日夫がひとりでポタリングしてきたつくばりんりんロードの辺り。
広い青空の下にどーんと筑波山がそびえる。
曖昧な記憶を頼りに車を駐める場所を探したが、見つけられず偶々見つけた公共の駐車場へ。すでに満車だったが少し待っていたら車が一台出た。
歩き出すと、旧道の傍らにある店先に人が集まっている。スタンプラリーというイベントが行われているようだった。
イベントがあることすら知らなかった私たちは横道に逸れてつくば道を少しだけ通り、脇道へと入った。
すでに12時を過ぎておなかが空いていた。
お寺も多く、腰をかけてお弁当を食べる場所ならたくさんある、という言葉を信じていたが、お寺はどこか入りにくい雰囲気があり、歩けど歩けどお弁当を食べられそうな場所はどこにもなかった。おなかを空かせたままりんりんロードに出て、歩く。
古い住宅の並ぶ一本奥の道へと足を向ける。掘のような水路に沿った道だった。
水路というのか掘というのか、底の方に水が少し溜まっている所と、ほとんど水がなく枯れている所ばかり。そんな溝の底にはシジミの殻がびっしりと広がっていることに気付く。水路にシジミ?と気になりながらもそれは誰かが捨てたものとは思えないほどあちこちに現れた。どうやらシジミは自生しているらしい。黒っぽい水底に鮮やかに目立つ真っ赤なアメリカザリガニの姿も見られた。
駐車場に戻り、ごはんの食べれる公園を探そう。
ナビで発見した平沢官衙遺跡を目的地にして車を走らせる。
筑波市内全体でのイベントらしく、ここでも駐車場の片隅にテントが出ていた。地元の人たちが作ったというキュウリの佃煮や胡麻、竹箒などを購入する。車内でおなかを満足させて、遺跡を見に行く。犬連れ禁止かもしれないとドキドキしながら近づいて行くと、広々とした芝生はみんなに開放されていた。有り難い。
目の前に芝生に敷き詰められた小高く広がる景色には、スケールがとれず圧倒される。
千年以上前の奈良・平安時代の筑波郡の役所跡で、その施設のうち正倉(高床式倉庫)が実物大で復元されて建っている。今日はラッキーなことに普段非公開だという倉庫内も開放されていて、近くまで行ってみることが出来た。
1000年前、この場所がいったいどんな風景で、周辺にいる人たちの毎日の生活はどんなだったのだろう。
現在の役人たちの問題はこの時代とどれほど変わっただろう。
傍若無人な役人たちは今も昔もそう変わりがない気がしてしまう。
ここで、1000年前もどれほどの人たちが役人たちに泣いたことだろう。そんな役人たちの中にも、真に役に立つ人たちもいたのだろうけれど…。なんてことを考えてしまった(笑。
ボール遊びをしている家族連れ、シートを広げて寝転がっている人たち。
海外から来ている人たちを案内して英語で説明している人。
高床式倉庫三棟の背後には筑波山山頂が少しだけ覗いている。
遺跡全体を取囲むように溝跡は、上幅4m、深さ1.2mほどらしい。これくらいのもので守れるの?と思ったけれど、見た目よりも深く広くて実際なかなか越えられるものではないようだ。
降りて行くのは簡単。しかし、パセ&ポプは難なく上ったけれど、夫の二駆では難しいらしい。上りきったパセ&ポプがまた喜んで溝に降りて行った。
無事溝から脱出して、平沢官衙遺跡の隣にある北条大池へ向った。
桜にぐるっと囲まれた池は蓮がびっしり覆い尽くすほど。数人の人が釣り糸を垂れている。
ポプラは本当に水の中に興味がある。水の中だけでなく、境界の向こう側かな。塀の向こう、門の向こうを見ずにいられない。普段のお散歩でも人の家を覗きたがる^^;。
蓮の実があちこちに見られる。蓮の実も食べられるそうだ。
時期が来たら手賀沼に摂りに行こうと思っていたことを思い出した。
10分ほどでぐるりと一周し、車へ。
この辺りのガイドマップに頂上から東京方面の夜景が見えて素晴らしい、と書かれていたので立ち寄ってみることにした。
宝篋山という山の休憩所だった。
ちょうど山から降りて来たご夫婦があなたなら30分くらいで頂上行けますよ、と夫に言っていたそうだ。30分で頂上!?
なるほど山に夜景を見に登るくらいだから、楽なのかな。
夜の山道を歩くのは怖いけど、それさえ問題にもならないほどなのかもしれない。真偽のほどは確かではないので、休憩所などで確認してからどうぞ。
夫はこの山が気に入ったらしい。
夕日を浴びながら、わたしたちは遠足を終え、パセ&ポプと元気に帰路についた。
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