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中国、近畿、四国もちらっと放浪旅 08 玉峰~大山 一向平

風で揺られた翌朝GWが開けた5月6日。

昨日も休日らしい光景はあまり感じなかったけれど、
車がほとんど駐まっていない広い駐車場にいるからではなく、
世間の空気がもう浮かれていないようで、
今日はいっそう静かに感じる。

一晩中吹いていた強い風のおかげで、夢でも風が吹き荒れていた。
揺り動かされて夢見悪し(苦笑。

朝食を済ませ、出勤してきたお店の人たちの邪魔にならないよう早々に出発する。

日南8時半頃、日南に入った。

司馬遼太郎は日南を「天然の植民地」と呼んだらしい。出典がわからないため、どういう意味でそう呼んだのかわからなくて残念。

『日南町阿昆縁 豪雪地帯 伝説の地』

木たちが囁く声が聞こえそうな森ばかり
小奇麗な里。

巨石日南湖へ砥波川沿い、県道107号線は巨石が点在している。

小高い丘の中腹に巨石。
砥波川の中にも巨石。

やはり寒い地域らしい。
まだ若葉の出ていない枝だけで寒そうな木が多い。

日南湖日南湖

湖畔にキャンプ場のマークがあったので、気にしながら湖畔を通過する。
立派な管理塔らしき建造物がある。
近づいていくと、その壁には「熊注意」の看板が。

キャンプ場と湖の間の道を進んでいく。
静かで穏やかな空気が流れている雰囲気のよいキャンプ場だった。

でも、熊は困る。

カヌーの里日野町に入った。
ナビで日野川沿いに「カヌーの里」(せせらぎの水辺)と書かれている。

日野川にぶつかって川沿いに走る。
かなり石がごろごろしていてダウンリバーするには難しそうな川だ。どこでカヌーをするのだろう?

突然、瀞場が出てきた。
河川敷に小さな小屋の脇に赤や青のカヤックが積み重なっている。

キャンプ場や公園などのようになっているかと想像していたが、とてもあっさりしたシンプルな施設だった。

根雨語呂が気に入って、行ってみたかった根雨駅に向かう。

赤い瓦のこじんまりとしたかわいい駅舎だった。

ホームには「やくも」というピンクと白の雲が鼻先に描かれた特急列車が停まっている。その奥には、伯備線の普通電車だろうか。
鉄道にはまるで縁がないのでわからない。

駅前には日野町出身の小説・翻訳家「生田長江」の碑があり、近くには記念館などもあるようだった。参勤交代の旅宿として利用されていた根雨宿の名残がある街道を進んで、駅を離れる。

猿飛湖俣野川ダムでできているダム湖「猿飛湖」

猿も飛んで渡れるくらい細い湖だから命名されたのか、と思うほど川のように細長い湖だった。
しかも、この時期はいつもそうなのか、囲んでいる緑の木々を映しこむはずの水面がない。
「入山禁止」と赤文字で書かれた看板の脇をふらふらと入っていく男性。あまりに線が細くて心配してしまう。

リアではパセ&ポプが相変わらず力を抜いてくつろいでいる。
蒜山に入ってきた。
予報どおり雲行きが怪しい。おそらくこれから向かうはずの場所は雲に隠れている。
風も強い。

蒜山前方に、道路脇に車を停めて斜面でなにかを収穫している人たちの姿が見えた。

わらび採りをしているらしい。
夫も車を降りて参戦。
山焼きされた直後だったらしく、服が炭だらけの真っ黒になってしまった。

そして手に握り締めた収穫物。
このときはわらびと信じて疑っていなかった。

休暇村通過展望台から大山方向を眺めたが、たっぷり水を含んだ重い雲が垂れ込めている。今夜からキャンプなのに、雨に降られてしまうのだろうか。

蒜山の休暇村にはコインランドリーがある。予定では、洗濯ができる蒜山か大山の休暇村に宿泊しようと思っていた。が、遠くに見えた蒜山の休暇村は、夫のイメージではないらしくまったく見向きもせずに素通りしてしまった。
雨がぽつぽつ降り出した。
奥大山の休暇村へ向かう。
休暇村のフロントでキャンプ場について尋ねる。しかし、フロントマンの態度がよろしくない。昨日電話で問い合わせたときの人は悪くなかったのに…。
キャンプ場を覗くと、ソロで今夜宿泊する人が、この雨で東屋の中にテントを移動して調理しているところだった。明日はその人も発つので私たちが宿泊すれば貸切になるらしい。
木立が適度にある段状になった広めの区画サイト。場所によっては風もさえぎることができるだろう。しかし、休暇村のランドリーとお風呂を利用するには歩いていけないくらい遠いし、この設備では料金も高い。
というわけで、却下。

雨晴れた夫がリストにあげていたキャンプ場へと向かうことにした。
走り出すと雨が止み、青空が見えてきた。

峠を越え、眼下に広がる平原。おひさまの日差しが降り注いでいる様子が見える。

山を下って一向平野営場に向かう一直線の道を走る。

管理塔には誰もいなかった。場内を見せてもらおうとしていると、山から下りてきたおじさんに声をかけられた。
話のペースがあわないのは耳が遠いからのか、それとも聞いていないのか、こちらの話があまり耳に入っていないらしい。会話にならず、どんどん問いかけてくる。
大山の調査やボランティアをしているという。
「ひゃくめいぜんはいくつ登られましたか?」
最初なにを聞かれているのかわからなかった。
「ひゃくめいだきはいつく見られましたか?」
と続けて聞かれて、最初の質問が「百名山」のことだったと気付いた。
「千葉からじゃ、もう二度と来られないだろうから、どうぞ楽しんで。」
わわ、もう二度と来られないの?
昨年も一昨年も近く通っているし、できればまた来たい…^_^;。

管理人さんがどこからか戻ってきた。
「どうぞ、どうぞ」と人のいい管理人さん。
車を横付けしてカーサイドを設営できる場所を探させてもらった。

ブナと桜が点在する段差のついた小さな区画サイトがたくさん並んでいる。
車が平らになって横付けできるサイトはぱっと見たところ一箇所のみ。
しかし、車を横付けするには何度も切り返さなければならない。
管理人さんのお母さん?奥さん?という女性も現れた。
「どこでも、ほら、どうぞ、どうぞ」と満面の笑顔で薦めてくれる。

もしかして調子いい人?なんて思ってしまったくらい。
最初驚くほど調子よく、そして態度を翻す人がいた。傍にはわからないように行動するところなんて巧妙な詐欺師といえる。私だけがまんまとひっかかっただけなのかもしれないけれど(笑。
なぜか、そんな人のことが頭をよぎってしまった(苦笑。
管理人さんがそうだったということじゃないですよ^^

一向平車を横付けにしてなんとかカーサイドリビングも張れるところはあるだろう、と買出しに行くことにした。
おばさんの管理人さんにスーパーの場所を聞いてみるが、まっすぐ行けばあるし、大きいのならもっと行けばある、と調子よく教えてくれた。距離も時間も目印もない説明だった。かなり不安(苦笑。

ナビと夫の勘を頼りに町に向かう。
日本海までのびている大山の裾野を走る。
山から、海の町へ出た感じがする。

町の名前も「浦安」。

2階に電気店が入っているらしいスーパーを発見。確かにまっすぐだった! でもこのお店が、おばさんの教えてくれた小さい店なのか大きいものかはわからない。おそらく大きい方だと思うけれど…。

角アゴとアジなどのお刺身、お米、ビール、豆乳鍋の材料、パセ&ポプごはんの材料と大量の買出し。
売っている氷が見当たらず店員さんに聞くと、お魚担当の人からずっしりと氷を入れた大きめなビニール袋を3つももらって抱えてきてくれた。足りなかったらもっと持ってきます、と。ものすごく面倒見のいいの店員さんたちだった。

さっき走ってきた1本道を今度は山に向かって走る。前方に山々が連なってそびえている。どれが大山でどれが蒜山かわからない。

さっきくぐり抜けてきた雨雲が海へと向かって移動してきているのか、雨粒を落としはじめている。

サイトが狭いキャンプ場に戻り、2泊の料金を支払いした。雨は止んでいる。
ほかに宿泊客も誰もいない場内で車が入れられる場所を今度は真剣に探す。
場内は緩やかな斜面になっていて、丸太で区画されている。車が入れるサイトは極々限られているし、切り返すこともかなり難しい。
車を水平に駐めらて、ペグが打てる場所は一箇所しかなかった。
しかし、そこへ車を入れるには何度も細かな切り返しが必要だった。入れては見たけれど、なにかあったときにすぐに逃げ出すことができない。
それではよくない。
また立ち木や溝を避けて何度も切り返し、脱出する。
次に検討した場所は、車は水平になるが、そこは風が強かったときにペグを足することができない(打つ場所がない)という場外サイトだった。

もしシェルを持ってきたとしても、シェルを立てるにはどこも手狭な区画である。ま、持ってきていないのだから考えても仕方ないことではあるのだけど…。

設営完了残るは、車は傾いてしまうけれど、非常時にもすぐに車を出せ、カーサイドが張れるサイト。

寝室は車ではなく、HEXを張ってもらおう。

30分近くサイト選びに時間がかかり、ようやく決定した。

サイトが出来上がると、ほんとうに気持ちよいキャンプ場だとゆっくり眺めることができた。
八重桜が咲き乱れ、散った花びらで地面にはピンク色の絨毯が敷かれている。
ブナの木が蒜山・大山から降りてくる風をやわらげてくれているようだ。
そして、野営場だというのに携帯のアンテナが3本も立っている。

パセ&ポプはピローがお好きなかよしなパセ&ポプカメラ目線のパセリ


豆乳鍋の予定だったので、たれと野菜を用意した。が、他に食べるものがたくさんありすぎて結局作るのは止めた。

夜夫が、ユニセラに火を入れてくれた。
カーサイドリビングの中がぬくぬくと温かくなる。

海近くの町まで降りて買ってきたお刺身は新鮮だった。

獣がやってくる、と夫は荷物を車に片付け、ゴミは高いところに吊り下げた。

HEXに移動して寝ようとした頃、雨がポツポツと降り始めた。
風が雨を運んできたようだ。

夜中ずっと断続的に雨を伴った風がやってきた。
円錐形のHEXに体当たりして、側面を昇る。
木の葉についていた水滴をばしばしばしばしっ、とHEXの上に落としていく。

ふと、ここには熊でないの?と頭をよぎった。

どこにも熊注意の看板などはなかったはず。
(平成19年4月頃大山周辺においてツキノワグマの目撃情報が寄せられています)

山から駆け下りてくる風が、加速をつけてHEXの斜面を駆け上る。

抜けていった、とホッとすると、また、来る!
遠くの山から駆け下りてくる音がする。
近づいてくる。
また水滴を落とし、HEXを揺らして駆け上る。

何度も何度も繰り返しやって来た。

となりでは息を立てて気持ちよさそうに寝ている人がいる。
どんなに風が強くても起きない人だと知っている。

HEXも、風にはかなり強いことはこれまでも経験して知っている。
でも、遠くから駆け下りて助走をつけ体当たりしてくるような風の音に、正直寝付けなかった。
ブナの木々に囲まれているおかげで、大分風の力も弱まっているはずだ、と強く言い聞かせ、うとうとする。

それでも、風への恐怖心か、熊への恐怖か、怖い夢を見て目が覚めた。

淋しげな鳴き声が聞こえる。
一本調子のヒーーッという声。
間隔をあけて鳴き続けている。
その声に応えるように、やはり悲壮な声が聞こえてきた。
フィーっ。
ヒーーッとフィーッが何度かやり取りされ、声の主たち同士の距離が近づいていった。少し声が明るくなったかのように聞こえた。
気持ちが通じたのかな、とホッとした。
しかし、フィーッの声が聞こえなくなった。
ヒーーッがまた悲壮な声に変わっていた。
風が吹き抜けていく森の中で、ヒーーッは一晩中鳴き続けていた。

2010.5.6のルート2010.5.6のルート




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