1997年からのお出かけレポです。時代により制作方法が違いお見苦しい、読みにくい箇所が多々あると思います。できる限り現代版に合わせるよう作業していますが、過去に頂いたコメント等が消えてしまうこともあります。ご容赦いただけたら幸いです。

初DELICA D:5 車中泊の旅 14 魚沼~只見

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10時頃、新潟に入る。
新潟の歩道や車道は、なぜ赤いのだろう。毎回思う、さびのような赤い道。新潟だけじゃないのだけど、新潟は特にそう思う。

松本ナンバーが消えて、まわりを走る車は長岡ナンバーばかりになった。
今回の旅は車のナンバーが何種類くらいあっただろう。高速を使って飛び越えちゃうとあまり感じられないけれど…。

若狭でもう海とは会わない、と言ったけれどまた日本海を見た(笑)。

魚沼市に入ると、もうわたしたちが理想とする景色がだんだんと広がり始める。
細胞に綺麗な水と新鮮な空気と木々の発するエネルギーが滲みこんでくる。
あぁ、潤っていく。

今回の旅でいろいろな場所を巡り景色と出会ってきた。
その中でもやっぱり一番しっくりと肌に合うのが南会津、奥会津。
だれでもウェルカムといった迎え方ではない。少しだけ近寄りがたいけれど、じっくりじんわり馴染んで、長い付き合いをしようとしている気がする。

もう近い。温度も下がってきた。
芽吹き始めた木々と桜の花と残る雪。
この赤みの濃い桜(?)はなんという名前なのだろう。

豪雪地帯で6ヶ月間は通行止めになる新潟福島間の道。調べもせずに来てしまったのに、すんなり通れたのは気が合う証拠かもしれない(笑)。何度も挑戦していつも通行止めで通れないという人もいるらしい。
こんな景色で迎えてもらえたこと、感謝せずにはいられない。

全長788.5mの六十里越トンネルを抜ける。
このトンネルは六十里越で唯一照明のあるトンネルらしい。確かにいくつか通り抜けたトンネルには照明がなく、真っ暗な管だった。



トンネルを抜けると別世界が一瞬覗く。
しかし、今度はスノーシェッドが続く。スノーシェッドの柱の間から覗く景色を見ていると、古い白黒フィルムのひとコマひとコマを見ているような、走馬灯を見ているような、近い未来現れる別世界をちらちら垣間見せられているような、不可思議な感覚になる。

滝の内側を通り抜ける箇所もあった。スノーシェッドの上に積もった雪が融けてすごい勢いで流れ落ちている。

これだけの雪対策がされている道なのに、一年の半分は使われず、雪に埋もれているとは。まぁ、このスノーシェッドがなければ1年のほとんどが通行止めとなるのかもしれない。
すごい道を作ったものだ、と調べると、この道沿いのどこかに「六十里越峠開道記念碑」があるそうで、「昭和48年9月 内閣総理大臣 田中角栄」と刻まれているらしい。なるほど、と頷ける。

長く続いたスノーシェッドを抜け出ると、そこは、想像以上の世界。
スノーシェッドから所々覗き見はしていたけれど、目隠しをされて、連れてこられたような世界。
感嘆の声を上げる。

両手を広げてこの世界を抱きしめたい、と思う。

温度はますます下がっていた。フリースを羽織らないと外に出ていられない。
ここもダム湖。現在は日本で二番目に大きいダム湖らしい。
ダムが出来る前は、僻地でありながら、林業が盛んで他の山村に比べて生活水準の高い集落があったそうだ。
このダムの下に沈むことになった住民たちへの補償問題を題材にしたものが、曽野綾子さんの『無名碑』。同じくこの問題を題材にした小説に、城山三郎氏の『黄金峡』があるらしい。

パセリの耳がひらひら。妖精のいたずら? 囁き?

ダム湖とは思えないような佇まいの湖。湖を守るように囲む山々。
別、天、地。
そこに昔、人が住んでいたなんてこの光景からどう想像すればいいのだろう。


雪が川のように山間を埋めている。この雪はいつまでこの白さを保っているのだろう。次の雪が降ってくるまでに地肌を見せることはあるのだろうか。
「デリカらしい場所だ!」と雪上へ向かおうとしたししたろさんを、制止した。
まだ、デリカのことを信じていないのか、ししたろさんの腕を信じていないのか…。いやいや、この雪の下を信じていなかったってことにしておこう。
この山間の雪の形を見ていたら思い出したことがある。
昔、ししたろと初めて遠出ドライブに行った天神平。パセリを迎えてから、パセリも一緒に行った。そうだ、今度はポプラも一緒に行かなくちゃ!

国道252号は半年間通行止めになるが、道路と平行している只見線は年間を通じて只見と新潟を結んでいるらしい。
倉庫のような田子倉駅がぽつんと建っている。
只見線は冬の期間も通っているけれど、この駅もまた冬季閉鎖だそうだ。
このとき、開いていたのか閉鎖していたのか、は確認していない(^^ゞ。

登山口。
その向こうに広がる、見えない世界を想像する。
未だ使ったことのない『登山者カード入れ』というポスト。ここから一歩すら踏み込まないのに、姿勢を正して、気を引き締めたりする。

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