1997年からのお出かけレポです。時代により制作方法が違いお見苦しい、読みにくい箇所が多々あると思います。できる限り現代版に合わせるよう作業していますが、過去に頂いたコメント等が消えてしまうこともあります。ご容赦いただけたら幸いです。

冬ごもりキャンプ 02

この記事は約5分で読めます。

凍った朝朝は、空気までも凍っていた。

先に起き出した夫が「凍ってる!」と言っている。
ボトルの水もシェルの幕体も車のボディも凍ってる、と。
外にぶら下げていた温度計はマイナス7度を示していた。
温度計はさぞかし寒い思いをしただろう。

カメラを向けるとレンズが曇ってしまった。

朝ごはん枯れ葉も草も枝も、白く光る衣をまとっている。
夫はパセ&ポプと、凍ったか枯れ葉を踏んで散歩に出かけていった。
その間にわたしは寝室(インナールーム)を整え、パセ&ポプが帰ってきたときのためにコットにフリースを敷く。そうしておかないと、パセ&ポプが少しでも暖かいところを求めて人の膝に乗ってくるのだ。朝露の散歩で濡れた足を乗せられると冷えてしまう。
昨晩パセ&ポプが寝たあとにストーブをコット脇に移動していた。
そのままの場所で朝も火がつけられていたので、フリースが触れたら危ないなあと思いながらフリースを広げた。その瞬間、手にしていたフリースが、抵抗した。

フリースブランケットの隅がストーブのトップにかかっていた。

慌てて取り払ったけれど時既に遅し。
溶けたフリースはストーブにこびりついてしまっていた。幸いなことに「穴」はあかなかった。気をつけないと…。

夫とパセ&ポプは町の探検をしていて、民家の野菜売り場を覗いてきたらしい。何も売っていなかったらしいが。
帰ってきて、ごはんタイムにする。わたしたちは芋っ子汁にうどんを入れた。
芋っ子汁にセリはなくてはならないもの。あるとないでは大違い。セリがないもの、それは芋っ子汁ではない。本当のところはしらないけれど。

買出しにビールが足りなくなりそう、とスーパーに買出しに行くことにした。
普段はシュラフやピロー、ウールブランケットでもこもこのリアシートはすべて降ろしているので寒々しい。よってパセ&ポプにはセーターなどを着用させてみた。

駐車場に入っていくと、スーパーの入り口に数人の警官がたむろしている。ちらっとこちらを見た。
なに?
別に悪いことはしていないはずなのに少し気になる。スーパーに入っていく人もこちらをちらちらと見ている気がする。
ん? うちの車なにか変?
まさかジェットバッグがオープン状態とか?
車から降りて恐る恐る車の屋根を見上げてみた。
異常はなかった。
じゃあ、なに???

パセ&ポプを車内に待たせて、いつもならダッシュでスーパーに入ってゆくところなのに、なぜかそれが出来ない感じ。
夫がレジに並んでいるとき車内のパセ&ポプの様子を見に出ると、出口にずらっと10人近くの警官が待ち構えていた。

な、なによ。

「今日は110番の日なので」
明るい警官の声が聞こえてきた。

風舞うキャンプサイトキャンプサイトに戻ると風が吹き始めていた。
枯れ葉が舞い上がり、大きな桜の木の枝も、松の木も揺れている。

なぜかたこ焼きなども買ってきていた。

早速余裕のある在庫状態になったビールを開ける。
クーラーバッグ以外にもビールを持ってきていたことを、スーパーから帰ってきて思い出した。余裕というよりもお持ち帰りパターンになってしまった(笑。

目の前にそびえる山の上は真っ青な空。
インナールームでは男子たちがごろごろ。

静かな午後。
強い風が音を立てて近づいてきた。
遠くから雲も連れて来た。
次から次に、枯れ葉を舞い上げ、青空に雲を散らして存在をアピールしている。

夜中、テントで寝ているときに山から駆け下りてくる風の音が聞こえてくると、聞きたくないのに耳を済ませてしまい、音に集中してしまう。どんどん音が大きくなって、強力な風を創りあげてしまい、自分で恐怖をあおう。

明るいと怖くならないから不思議だ。
姿の見えない風の存在をカメラに収めようと何度もシャッターを切る。
不精してシェルの中から撮っていたから、その姿はやはり撮れなかった。

へ出かけた男子たちのそのそと起きだした男子3名は、また連れ立って寒風の中を散歩へと出かけていった。

わたしは、どれだけ飲んでもあまるほどあるビールを飲みながら読書。酔いが回ると頭に入らなくなるぞ。

ただいま1時間ほどすると、シェルのドアからすぽっと入り込んできたポプラ。続いてパセリも入ってきた。
「おかえり」

川向こうで狩猟川を挟んだ向こう岸の枯れたススキが群生している。その葉の隙間に人の影が見え隠れした。オレンジ色の帽子に上着を着ている。どうやら猟らしい。走ってゆく犬の姿も数匹見えた。

ひとりで散歩中の犬15時を過ぎると空気はますます冷えてくる。太陽が傾いてもうすでに夜の気配がすぐそばにまで迫ってきていた。
昨日の残りの芋っ子汁はランチジャグに移し、今夜の寄せ鍋の準備を始める。
夕方の風景カンカンカンと乾いたサイレンが近づいてきた。
まるで昼のカーテンを閉めてゆくように、対岸の道を消防車が走り抜け、山の色が変わった。

先ほど入ってきた黒いワゴンが消えていた。
ソロテントを挟んだ向こう側に車を停め、テントなどの荷物を降ろし始めていた男女。荷物を地面に降ろしたまま車に乗り込んでいたのでどうしたろのだろうと気になっていたが、ふと気づくと荷物はもちろん車もいなくなっていた。なにか致命的な忘れ物でもしてしまったのだろうか。それとも設営する前に帰らなければならない緊急の連絡でも入ったのだろうか。

川から離れた場所にはユニフレームのシェルターが立った。その前では焚き火の炎が盛大に上がっている。離れたところを選んでくれているのがありがたい。

火ともしころ17時にはパセ&ポプの散歩へ行き、ごはんにする。
暗くなってきた中での散歩は、種の運び屋としてパセ&ポプが利用されてしまう。このときもしっかり付けていた。
昨日到着した時間になった。
こんなに暗かったのかと不思議に思う。

夜は静かに温度がどんどん下がってきた。
パセ&ポプにも珍しく服を着せる。

真っ暗な20時、トラックのような音をさせた車が2台連なって入ってきた。ドアの開け閉めに加えて、単管でも組むのかというようなけたたましい音が響く。
キャンピングカーの間にシェルターを立てているようだが、なぜかひとつひとつの音が大きく響く。
知らぬは本人ばかりなり。
人の振り見て…、と肝に銘じる。

今夜も星は静かに輝いている。
夜の海に光る波のように揺れながら。

太陽が昇る空に、今夜もオリオン座があった。

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