1997年からのお出かけレポです。時代により制作方法が違いお見苦しい、読みにくい箇所が多々あると思います。できる限り現代版に合わせるよう作業していますが、過去に頂いたコメント等が消えてしまうこともあります。ご容赦いただけたら幸いです。

九州・四国 ぐるっと4221.4kmの旅 16 (キャンプ@高千穂)

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眼下に町町から10kmほど登ってきただろうか。ずいぶん高度もあがった。町がずっとずっと下に見える。

このキャンプ場のレポートを書いている人が、最後の道はダートでかなり厳しい道だと何度も書いていた。ここまではずっと舗装路だった。そろそろそんな道が現れるのか。

と思ったら、ナビが示している左折する場所を行きすぎてしまった。
舗装はされていても細い山道、Uターンは出来ず、バックで戻る。

ナビの案内する道ナビの言う通り左折すると、前方には無舗装の土が暴れている登り道が現れた。

左折する場所に、キャンプ場への案内看板はなかった。
ほんとうにここで曲がって良かったのか。不安がよぎる。

崩れている道薄暗い木立を抜け、カーブを曲がって出てきた景色に、目を見張った。
右斜面は崩れていた。土砂が流れて木々はなく、ぱっくりとえぐれている。
大きな岩もごろごろとその途中で今か今かと落下するのを待っている。車が通ったらしい跡はある。
「ほんとに、この道?」顔を見合わせる。
ナビは「この道だ」と言っている。狂っているけれど…。
レポートで普通の車では厳しいとは書かれていた。
しかし、厳しすぎる。危険すぎる。命がけで行かなければいけないようなキャンプ場って、そんなわけはない。

崩れてる…夫は、車を降りて先を探りに行った。徒歩だって危険なのに…。
こんな場所で携帯が入るとは思えなかったけれど一か八か携帯を見てみる。少し移動するとなんとかアンテナの立つ位置があった。
キャンプ場に電話をする。
かかった!と思ったら、切れてしまった。やはり通じないか…。
と、こんな場所にそぐわない電話の鳴る音が響いた。
キャンプ場のおじさんがまた電話をしてきてくれたのだった。
今いる場所の目印になるようなものがなく、どう伝えればいいのかわからないまま、土砂崩れがあった林道のような道に入ってしまっているけれど、道に間違いがないかと伺う。
おじさんは、わたしたちの居場所に合点がいったらしく、そこは戻って、曲がらずに進めば看板が出てくるから、看板に従って来て、と。
助かった!
だめ~探りに行った夫に聞こえるように、普段出したこともないような大声で叫ぶ。
「ダメ、ダメ~」と向こうからも声が聞こえてきた。

すたこら戻るおじさんに言われたとおり、入ってきた道を降り、舗装道へ戻る。今回の電話も途切れ度切れで何度もかけ直したりかけてもらった上でなんとか通じた会話だった。記憶したことに間違いがないか不安があったけれど、 しばらくすると看板が出てきた。
よかった、間違っていない。
そこでまた電話が鳴った。おじさんからだった。心配してくれていたらしい。とても親切な管理人さんだ。

キャンプ場まではずっと舗装されていた。
この崖崩れは去年の台風で起きたものだそうだ。崩れる前はこの道を使っていたのだろう。あとから聞いた話だが、やはり我が家と同じようにこの道に迷い込んだ人たちがいたらしい。きっとカロッツェリアのナビを信用したのではないかと思う。ナビを信用してはいけない(苦笑。
それにしても、この崩壊が起きたとき、別の道はあったのだろうか。道が閉鎖されて、閉じ込められたりしなかったのだろうか。山奥などの一本道しかないキャンプ地に行くときはいつも「帰ってこられるか」を考えてしまう。そのために非常用食料も用意しているのだけど、目の当たりにこのような崩壊を見てしまうとまだまだ非常事対策と心構えが出来ていないことを思い知らされる。

四季見原ちょうど正午にキャンプ場に到着した。
管理棟に行くと、奥さんがいて、オートサイトにキャンセルが出たのでどうぞ、と言ってくれた。もちろん他のサイトも見て決めていいですよ、とも。
オートサイトは、各サイトにシャワーと水道がひとつずつ付いている超高級サイトで、車の駐める場所とテントを張る場所が別々に区切られていた。車は景色が広がる側に駐めるようになっている。これではカーサイドリビングの中から景色は望めない。
車でフリーサイトを覗いて見ることにした。車が駐めることが出来る場所であればそこでカーサイドを利用することができる。しかし、フリーサイトは急な山の斜面。ところどころにサイト適地があるが、車を脇にとめられるような場所はなかなかなさそうだった。唯一我が家が選択できそうな場所は、急な斜面を上っていくサイトと、サイト脇に置けない車が数台駐められているスペース。おじさんが電話で言っていただろう「あそこ」とは、ここの駐車スペース脇だろうと想像した。もぐらがあちこち顔を出したらしい跡があるけれど、それをなんとか外し、他のテントとも距離を置いてカーサイドを設営することにした。

急に雲が広がってきて、今にも雨が降りそうな空模様になってきた。いや、空模様といっても見上げた空ではなく、目線下から雲が上がって来ていた、というのが正しい。 さっさと設営してしまわないと降られてしまいそうと少しばかりペースをあげる。
お山のてっぺんが…しっかり水を含んでているらしい雲は上がってくるにも重いのか、私たちの設営を待ってくれたのか、降られることなく設営を完了することができた。
すぐにあたりは白くなった。カーサイドリビングの窓から眺めていると、雲の塊が移動すると木々が見えたり、山の頂上が眼下に見えたり、と一瞬たりとも留まっている景色はなかった。

時間はまだまだ早い。わたしは洗濯。といっても、靴下だけ。ちょっと洗ってしまおうと手洗いして、タオルで水気を十分に取り、車内とテント内に干した。
その間に、夫は山へパセ&ポプと散策へ。まるで、昔話のはじめみたいだけど、桃が流れてきたり、月からの使者が来たりなどという特別なことは起きないだろう。
パセ&ポプも山並と雲海にびっくりしている様子。岩から海へ飛び込んだり、堤防に飛び乗ってしまうパセ&ポプ、飛び込みたくなっていたのかもしれない(笑。

標高1200mのここ四季見原キャンプ場は、わたしがどうしても来てみたかった場所。 雲海を眺めながらキャンプができるなんて素晴らしい、とまさか九州をまわるなんて考えてもいなかった頃から気になっていたキャンプ場だった。知らぬが仏で、帰宅してから知ったのだけれど、ここはGWと夏休み期間しかオープンしないので予約でいっぱいになるキャンプ場らしい。小さなキャンプ場だし、この絶景だもの競争率が高いのも頷ける。しかし、なにも知らず、予約もせず、当日押しかけて運良く泊まることができたなんて、我ながら驚く。

食事の支度辺りが真っ白になってきたので、早々と夕飯の準備をはじめる。

雲とともにおとなりさんが夕方になって隣のサイトと開けた場所に、ファミリーが設営を始めた。よくそこに張れるなぁ、と感心するほど近い。GWやお盆休みにキャンプをしているとこの感覚で、サイトの間隔も狭くなるのかもしれない。雨がぽつぽつ降り出してきた。
挨拶をすると気さくに挨拶をしてくる。全く悪気はないのだ。
雨になっちゃいましたねぇ、と言うと予報で言ってましたからね、と話していた。
天気予報どおりだったとは…、知らなかった。大型テントにスクリーンテント、椅子にテーブル、調理器具などなどたくさんの道具がいっぱい出てくる。きっとGW中、ここで連泊するのだろう(羨。できるならわたしもこの天空のキャンプ場で連泊して、朝から夕方までずっとぼーっと下界を眺めていたい。

なかよしパセ&ポプ飲んで、食べて、パセ&ポプのごはんも終えると、急に眠気が襲ってきた。
18時。
30分くらいだけ横になるね、と車に入った。
7時だよ、と声をかけられたらしいが眠り続けた。
もしかしたら、物語は始まっていて、眠り姫でも乗り移っていたのかもしれない。
そして、 突然、ぱっちり目が覚めた。
パセ&ポプ王子に起こされたわけではなく自発的に。
目の前が真っ暗だった。
時間を確かめると、22時。
なんと、みんな車でぐっすり寝ている。
うわぁ~。
こんな時間に寝ていたら、翌日いったい何時に起きてしまうのか。
それが恐ろしくて、いったん起きることにした。
付き合って夫も起き出した。パセ&ポプは付き合っていられないらしく、そのまま車内で寝続けていた。

幕体を叩く雨の音が響く。

明後日の朝には九州を離れる。
旅も後半に入ってしまった。

外に出ると小雨だった。
カーサイドに雨音が響く。
眼下の雲間に、町の灯りがちらちらきらきらしていた。

2009年5月3日のルート本日の走行距離、とっても少なく90km

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