ししたろがごそごそ置きだす音が聞こえた。お湯を沸かしているらしい。
コーヒーの香りがルームの中にも漂ってきた。
ルームを開くと冷たい空気が入り込んで来る。薄っぺらいナイロンの布でもあると温度が違う。
冷たい空気とともにコーヒーの濃い香りが運ばれて来た。
そして、熱々のコーヒーをいただく。
パセリもルームからひょいっと飛び出してコットの上で丸くなった。
ポプラもあとからコットに飛び乗る。
山の上も太陽の光で輝き始めた。
やっぱり秋がいいなぁ。もしくは春。
山には白い筋があるといい。
ごはんを食べたら、またルームでごろごろする妹とパセリ。
パセリったらおなかぱかっと広げちゃって、緊張感まるでなし。
シェル内土足厳禁範囲を増やしてほぼお座敷スタイルにするため、オールウェザーブランケットを2枚敷き詰めることにした。
3人でテーブルを持ち上げて、いすをどけて…と作業したとき妹が「あ、パセ&ポプはっ!?」と叫んだ。
今ここにいたパセ&ポプが消えていた。
ああ、6つの目があるからってコットにいたパセ&ポプにリードをしていなかったのだった。
やっぱり誰がなんと言おうと、パセ&ポプやわたしたちが多少不自由であろうと、リードはしなければいけない。リードをしないためにルームも考案したのに…。
シェルから飛び出して、サイト周りを見渡し、パセ&ポプの姿を探す。目を凝らしているようで当てがない視線は泳いでしまう。
たった数分のことだけど、もういつからいないのか途方にくれる。どこまで行ってしまったのか。カラーはしている。鑑札も迷子札もつけてある。でも、山の中へでも入ってしまったら…。
くるくる同じ場所で回りを見渡す。
何時間も経ってしまっているような気がしてきた。
隣のサイトの奥さん(昨日子供を捜していた人とは違うはず)が、
「ここに来てますよ」と声をかけてくれたらしい。
ししたろがその言葉にすぐ気付き「すみません、ありがとうございます」と言いながら急いだ。
パセ&ポプはふたりとも仲良くお隣のサイトにお邪魔していた。
なんで呼んでも帰ってこないの…(-“-)
悪さすることもなかったらしいが、大変失礼しましたm(__)m
犬嫌いな方じゃなくてほんとうによかった。
そしてご迷惑をかけてなくてホッ。そしてそしてすぐに見つかって本当に良かった。
3~5メートルほどの脱走。
夢であってほしいと祈った数分だった。多分1-2分。
思い出しただけでもドキドキする。
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